全日本空輸(ANA)は、マイレージ制度の見直しの一環として、「アップグレードポイント」の提供を終了する方針を発表しました。本記事では、この変更の概要と利用者への影響、そして制度全体の方向性について整理します。
アップグレードポイントとは何か
アップグレードポイントは、ANAの上級会員向けに毎年付与されてきた特典ポイントです。
対象となるのは、ダイヤモンド・プラチナ・ブロンズ会員や、いわゆるSFC(スーパーフライヤーズカード)会員などで、前年の搭乗実績に応じて付与されていました。
主な用途は以下の通りです。
- 国内線・国際線の座席アップグレード
- 同行者のラウンジ利用
- ANA SKYコインへの交換
このポイントは、用途によっては1ポイントあたり約1,000円前後の価値があるとされ、上級会員にとっては実用性の高い特典のひとつと位置付けられていました。
制度変更の概要
ANAは2026年度をもってアップグレードポイント制度を終了し、今後はマイルを中心とした仕組みに一本化します。
主な変更点は以下の通りです。
- 座席アップグレードはマイル利用に統一
- 国内線ファーストクラスもマイルでアップグレード可能に
- 一部ラウンジ関連サービスは終了
- 上級会員向けの補填措置として、特定条件下でマイル付与あり
これにより、従来は複数存在していた「ポイント体系」が整理される形となります。
利用者への影響:定額制から距離連動制へ
これまでのアップグレードポイントは、必要数が路線に関係なく一定である点が特徴でした。
例えば、国内線では短距離・長距離に関わらず同じポイント数でアップグレードが可能でした。しかし、新制度では必要マイル数が距離に応じて変動します。
そのため、特に長距離路線では、従来よりも多くのコスト(マイル)が必要になるケースが想定されます。
結果として、
- 利用効率の低下を感じるケースがある
- 路線ごとのコスト差が明確になる
といった変化が生じます。
上級会員制度への影響
今回の変更では、SFC会員を含む上級会員向けの特典にも見直しが入ります。
従来提供されていた追加のアップグレードポイントは廃止され、今後は「アップグレード=マイルまたは追加料金」というシンプルな構造になります。
これにより、
- ステータス保有だけで得られる特典は縮小
- 実際の利用(マイル活用など)が重要に
といった方向への変化が見られます。
ANAの狙い:制度のシンプル化と統合
今回の変更の背景には、複数のポイント制度を整理する意図があると考えられます。
これまでのANAでは、
- マイル
- プレミアムポイント
- アップグレードポイント
といった複数の仕組みが並立していました。
今後は「マイル」を中心とした共通通貨的な位置付けへと統合し、利用ルールの明確化と運用の効率化を図る狙いがあると見られます。
この動きは、海外航空会社でも一般的になりつつあるモデルです。
今後のANAと制度改革の流れ
近年、ANAはサービス体系全体の見直しを進めています。
- 2026年5月:運賃体系の改定
- プレミアムクラスの名称変更(ファーストクラスへ)
- マイル制度の整理・統合
これらの動きからは、従来の複雑な制度を見直し、より分かりやすい仕組みへ移行しようとする方向性が読み取れます。
これら一連の改革からは、ANAが従来の枠組みにとらわれず、「次の時代に適応した航空会社」へと移行しようとする意図がうかがえます。
制度変更に対しては、「改悪ではないか」「以前の方が良かった」といった意見が出やすいのも事実です。しかし、個々の変更に一喜一憂するのではなく、企業全体の方向性や長期的な戦略として捉えることが重要といえるでしょう。
今後の動向を踏まえながら、ANAがどのようにサービス価値を再構築していくのか、引き続き注目が集まります。
まとめ
アップグレードポイントの終了は、上級会員にとって一定の影響がある制度変更です。一方で、ANA全体としては、
- ポイント制度の簡素化
- マイルへの統合
- サービス体系の再設計
といった中長期的な改革の一部と位置付けることができます。
今後は、制度の変化を前提とした利用方法の理解が、より重要になるといえるでしょう。




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