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「現金で5%稼げる時代」の終わり? 投資家が再び考え始めた“現金をどれだけ持つか問題”

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ここ数年、アメリカでは株式市場が非常に好調です。特にAI(人工知能)関連企業への期待や企業業績の強さを背景に、主要な株価指数は史上最高値圏で推移しています。

その一方で、アメリカの投資家にはもうひとつ大きな追い風がありました。それが「現金でも高い利回りが得られた」という点です。

日本では普通預金の金利が0.2%前後なのに対し、アメリカではこの2年ほど、米ドルの預金や短期国債、マネー・マーケット・ファンドなどで年5%近い利回りを得られる状況が続いていました。

つまり、リスクの高い投資をしなくても、「現金を置いておくだけでそれなりに増える」時代だったのです。

しかし、その環境が変わり始めています。


アメリカで「現金が強い資産」だった理由

2008年のリーマンショック以降、アメリカは長く低金利時代が続いていました。

ところが近年、インフレ対策としてFRB(米連邦準備制度理事会)が急激に利上げを実施。すると短期金利が大きく上昇し、預金や短期債券でも高い利回りが得られるようになりました。

その結果、

  • 銀行預金
  • 短期国債(Tビル)
  • MMF(マネー・マーケット・ファンド)
  • 譲渡性預金(CD)

などの「現金に近い安全資産」が人気を集めました。

価格変動リスクを抑えながら、5%前後の利回りを得られたためです。

これは投資家にとって非常に魅力的でした。


ところが今、「利下げ」が意識され始めている

最近の市場では、FRBが今後利下げに向かうのではないかという見方が強まっています。

金利が下がると、当然ながら預金や短期金融商品の利回りも低下します。

つまり、

「安全に5%もらえる時代」

が終わりに近づいているわけです。

実際、一部の高金利預金やMMFでは、すでに利回り低下が始まっています。


現金を持ち続ける“機会損失”が再び問題に

高金利時代には、現金を持っていてもそれなりに増えたため、「投資せず待つ」という戦略が成立していました。

しかし利回りが低下すると状況は変わります。

例えば、

  • 株式市場は上昇している
  • AI関連投資が活発
  • 企業利益も堅調

という環境が続けば、現金ばかり保有している人は市場上昇に乗り遅れる可能性があります。

これが「機会コスト(得られたはずの利益を逃すこと)」です。

つまり今後は、

「安全だから現金を持つ」

だけではなく、

「現金を持ちすぎることで資産形成が遅れないか」

も考える必要が出てきます。


現金には2つの役割がある

投資の世界では、現金には大きく2つの役割があると言われています。

1. すぐ使える待機資金

株価急落時などに、安くなった資産を買うための“待機資金”です。

これを英語では「ドライパウダー」と呼ぶことがあります。


2. 現金そのものが投資対象

金利が高いときは、現金自体が魅力的な運用商品になります。

過去2年のアメリカは、まさにこの状態でした。

安全性が高いのに、株並みとは言わないまでも十分な利回りが得られたためです。

しかし、利下げ局面ではこの魅力が薄れていきます。


人は「直近の成功体験」に引っ張られやすい

ここで問題になるのが、人間の心理です。

投資では「アンカリング(係留効果)」という言葉があります。

これは、過去の経験や数字を“普通の状態”だと思い込んでしまう心理です。

例えば、

「現金で5%もらえるのが当たり前」

と感じてしまうと、利回りが下がっても現金保有を続け、株式など成長資産への投資が遅れる可能性があります。

結果として、

  • インフレに負ける
  • 資産成長が鈍る
  • 長期リターンを逃す

といった状況になりかねません。


次のリスクは「攻めすぎ」ではなく「慎重すぎること」かもしれない

これまでの金融市場では、

「リスクを取りすぎること」

が警戒されてきました。

しかし今後は逆に、

「慎重になりすぎて投資しないこと」

がリスクになる可能性があります。

特にAIや生産性向上によって企業利益が伸び続けるなら、現金偏重の人ほど資産形成で差がつく可能性があります。


FRB議長交代も市場の注目点

今後はFRB議長の交代も注目されています。

中央銀行のトップが変わると、

  • インフレ対策
  • 景気重視姿勢
  • 利下げ・利上げ方針
  • 市場との対話姿勢

などが変化することがあります。

金融政策の微妙な変化でも、株式市場や債券市場には大きな影響が出ます。

そのため投資家は、

「これからも高金利が続くはず」

と決めつけないことが重要になります。


結局、今の時代に大事なのは「現金の目的を考えること」

現金は今後も重要です。

ただし、

  • 生活防衛資金なのか
  • 投資待機資金なのか
  • 老後資金なのか
  • 短期用途なのか

によって、適切な保有額は変わります。

以前のように、

「とりあえず現金を置いておけば増える」

という時代ではなくなりつつあります。

これからは、

  • インフレ
  • 金利
  • 税金
  • 投資機会
  • 長期の資産形成

を総合的に考えながら、「なぜ現金を持つのか」を判断する時代になってきているのです。

つまり、現金は“何も考えずに置いておくもの”ではなく、戦略的に管理する資産へと変わりつつある、ということです。

USCPA/米国公認会計士 国際資格 アビタス
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