注文住宅を調べていると、必ずと言っていいほど目にするのが「坪単価」という言葉です。
「坪単価70万円なら、35坪の家は2,450万円?」
「坪単価80万円は高い?安い?」
「ハウスメーカーと工務店では、どちらが安い?」
このように、坪単価は注文住宅の価格を比較するうえで便利な指標です。
しかし、坪単価だけを見て住宅の「高い・安い」を判断するのは危険です。
住宅会社によって坪単価の計算方法が違ううえ、照明やエアコン、外構工事などが含まれているかどうかも異なるからです。
さらに、2020年代に入ってから建築費は上昇しており、過去の「坪単価60万円程度」といった感覚で予算を考えると、現在の住宅価格と大きくズレる可能性があります。
この記事では、2026年9月時点で確認できる最新の公的統計をもとに、
- 坪単価とは何か
- 注文住宅の坪単価はいくらなのか
- 2025年の最新データでは建築費はいくらになったのか
- 2026年の足元ではどの程度の水準なのか
- ハウスメーカーと工務店ではどちらが安いのか
- なぜ同じ住宅でも坪単価が変わるのか
- 30坪・35坪・40坪の家はいくらくらいになるのか
- 坪単価を見るときの注意点
- 本当に見るべき「住宅購入の総額」
について、分かりやすく解説します。
結論:2026年の注文住宅は「坪単価90万円前後」を一つの目安に
まず結論から見てみましょう。
国土交通省の「建築着工統計調査」をもとにすると、2025年に着工された全国の持家・木造住宅の工事費は、1坪あたり約86万円の水準でした。
一方、2026年6月の直近データでは、同じく木造住宅の工事費単価は約92.8万円/坪まで上昇しています。
つまり現在の注文住宅については、
「木造住宅なら坪単価90万円前後」という数字を、全国的な建築費の一つの目安として考える
と分かりやすいでしょう。
ただし、この数字は住宅会社が広告などで表示する「坪単価」とは意味が違います。
あくまで国土交通省の建築着工統計から計算した着工時の工事費予定額ベースの平均値です。
土地代や住宅ローン費用、外構費用などを含む「家を取得するための総額」ではありません。
坪単価とは?1坪あたりの建築費のこと
坪単価とは、簡単に言えば、
住宅1坪あたりにどれくらいの建築費がかかるのか
を表した数字です。
1坪は約3.3㎡です。
一般的な計算方法は、
坪単価=建物本体価格÷延床面積(坪)
となります。
例えば、建物本体価格が3,000万円、延床面積が35坪だった場合、
3,000万円÷35坪=約85.7万円/坪
となります。
この場合の坪単価は約85.7万円です。
坪単価×坪数で建築費を計算できる?
おおまかな目安としては計算できます。
例えば、
坪単価90万円
の住宅を、
35坪
建てるとします。
単純計算では、
90万円×35坪=3,150万円
となります。
しかし、ここで注意したいのが、
3,150万円あれば家づくりがすべて完了するとは限らない
ということです。
住宅を建てる場合には、建物本体以外にも、
- 地盤改良費
- 屋外給排水工事
- 電気・ガス工事
- 外構工事
- 設計・申請費用
- 登記費用
- 住宅ローン関連費用
- 火災・地震保険
- 各種税金
などが必要になる場合があります。
そのため、
坪単価×坪数=住宅取得に必要な総額
ではありません。
ここは注文住宅を検討する際に、特に覚えておきたいポイントです。
2025年の木造注文住宅の坪単価は約86万円
では、実際の建築費はどの程度なのでしょうか。
国土交通省の「建築着工統計調査」では、住宅について「床面積」「工事費予定額」「1㎡あたり工事費予定額」などが公表されています。
2025年の全国データでは、持家・木造住宅の工事費単価は1㎡あたり約26.1万円、1坪あたり約86.3万円という水準です。
これは2025年1月から12月までの暦年データです。
したがって、2025年の木造住宅については、
約86万円/坪
を一つの統計上の目安と考えることができます。
なお、「2025年度」のデータを使うと約87万円/坪となるなど、資料によって数字が多少異なることがあります。
これは間違いというわけではありません。
「2025年(1~12月)」と「2025年度(2025年4月~2026年3月)」で集計期間が違うためです。
この記事では、原則として「2025年=暦年」として整理します。
2026年の建築費はさらに上昇している
さらに重要なのが、2026年の足元の状況です。
2026年6月の建築着工統計では、全国の木造住宅について、
- 床面積:約485万㎡
- 工事費予定額:約1兆3,619億円
- 1㎡あたり:約28.1万円
- 1坪あたり:約92.8万円
となっています。
2025年6月の約88.1万円/坪と比較すると、約5.2%上昇しています。
つまり、
2025年の年間平均では約86万円/坪だったものが、2026年の足元では約93万円/坪の水準まで上がっている
というイメージです。
もちろん月ごとの数字には変動があります。
それでも、現在の住宅建築費を考える際には、数年前の相場ではなく、2026年の建築費上昇を前提に予算を考えることが重要です。
30坪・35坪・40坪なら建物はいくら?
現在の建築費をイメージしやすくするため、坪単価90万円で単純計算してみましょう。 延床面積 坪単価90万円の場合 25坪 約2,250万円 30坪 約2,700万円 35坪 約3,150万円 40坪 約3,600万円 45坪 約4,050万円
ただし、これはあくまで**「坪単価90万円×延床面積」という単純計算**です。
実際の住宅価格は、
- 住宅会社
- 建物の形
- 間取り
- 設備
- 断熱性能
- 耐震性能
- 窓
- 外壁
- 屋根
- オプション
などによって大きく変わります。
また、土地代や外構費用なども含まれていません。
したがって、この表は「建物価格の感覚」をつかむために利用してください。
都道府県によって建築費はどのくらい違う?
注文住宅の建築費は地域によっても違います。
2026年6月のデータを参考にすると、都道府県単位の工事費単価にも差があります。
例えば、 地域 坪単価の目安 北海道 約96万円 宮城県 約98万円 東京都 約120万円 神奈川県 約95万円 愛知県 約84万円 大阪府 約96万円 福岡県 約85万円 全国 約93万円
という水準でした。
ただし、ここで注意したいのは、東京都の「約120万円/坪」という数字を、
「東京の住宅会社は坪単価120万円」
と理解してはいけないことです。
これは東京都で着工された住宅について、工事費予定額を床面積で割って算出した統計上の数値です。
住宅会社が広告で表示する「坪単価」とは計算方法が異なります。
また、土地代も含まれていません。
なぜ地域によって坪単価が違うの?
建築費には、
- 人件費
- 建築資材
- 輸送費
- 土地の条件
- 寒冷地仕様
- 積雪対策
- 防火・準防火地域への対応
など、さまざまなコストが影響します。
例えば北海道や長野県などでは、寒冷地に対応した断熱・設備などが必要になる場合があります。
一方、都市部では土地が狭く、住宅密集地での施工や搬入が難しいなど、別のコスト要因があります。
したがって、
「全国平均=自分が住む地域の相場」ではない
と考えておきましょう。
木造・鉄骨・RCでは坪単価が大きく違う
建物の構造によっても建築費は変わります。
2025年の全国の持家について見ると、国土交通省の建築着工統計では、 構造 坪単価の目安 木造 約86万円 鉄骨造 約122万円 持家全構造 約90万円
という水準でした。
一般的には、
木造<鉄骨造<RC造
の順に建築費が高くなる傾向があります。
ただし、これも「木造なら安い」「鉄骨なら高い」と単純には判断できません。
木造住宅でも、
- 高断熱
- 高気密
- 高耐震
- 高級キッチン
- 高性能窓
- 無垢材
- 太陽光発電
- 蓄電池
などを採用すれば、建築費は大きく上がります。
ハウスメーカーと工務店はどちらが安い?
住宅を検討するときに気になるのが、
「ハウスメーカーと工務店では、どちらが安いのか?」
という問題です。
一般的には、同程度の住宅で比較すると、大手ハウスメーカーのほうが工務店より高くなる傾向があります。
しかし、
ハウスメーカー=高い、工務店=安い
とは限りません。
ハウスメーカーにはローコスト住宅の商品もあります。
一方、工務店でも、
- 高級住宅
- デザイン住宅
- 高性能住宅
- 自然素材の住宅
などを得意としている会社なら、大手ハウスメーカーより高くなることもあります。
つまり、住宅会社を選ぶときには、
「ハウスメーカーか工務店か」ではなく、「その会社でどんな家をいくらで建てられるのか」
を見ることが重要です。
坪単価が会社によって違う最大の理由
住宅会社を比較するときに、最も注意したいのがここです。
実は、
坪単価には統一された計算ルールがありません。
例えば、A社が、
本体価格3,000万円÷40坪=75万円/坪
と表示していたとしても、B社が同じ条件で計算しているとは限りません。
「本体価格」に何が含まれているか確認する
住宅会社によって、
- 照明
- エアコン
- カーテン
- 屋外給排水
- 電気工事
- ガス工事
- 外構工事
などの扱いが異なります。
例えば、
A社
坪単価70万円
ただし、
- エアコン別
- 照明別
- 外構別
- 屋外給排水別
B社
坪単価80万円
ただし、
- エアコン込み
- 照明込み
- 屋外給排水込み
だったとします。
この場合、坪単価だけならA社のほうが安く見えます。
しかし、実際に必要な費用を足すと、B社のほうが安くなる可能性もあります。
だからこそ、
「坪単価はいくらですか?」
だけではなく、
「その坪単価には何が含まれていますか?」
と確認することが重要です。
「延床面積」と「施工面積」の違いにも注意
もう一つ重要なのが、坪数の計算方法です。
住宅会社によっては、坪単価を計算するときに「延床面積」ではなく「施工面積」を使うことがあります。
例えば、
- 延床面積:40坪
- 施工面積:45坪
だったとします。
本体価格が3,000万円なら、
延床面積で計算すると、
3,000万円÷40坪=75万円/坪
です。
施工面積で計算すると、
3,000万円÷45坪=約66.7万円/坪
となります。
同じ3,000万円の住宅なのに、坪単価は大きく違って見えます。
そのため、坪単価を比較するときは、
「何坪を基準に計算していますか?」
と確認しましょう。
なぜ小さい家ほど坪単価が高くなることがある?
「家を小さくすれば、坪単価も安くなる」
と思うかもしれません。
しかし、必ずしもそうではありません。
例えば、
40坪・3,200万円
の住宅を、
30坪
に縮小したとしても、単純に800万円安くなって2,400万円になるとは限りません。
なぜなら、30坪になっても、
- キッチン
- 浴室
- トイレ
- 給湯器
- 分電盤
- 給排水設備
- 建築確認
- 現場管理
などの費用はゼロにはならないからです。
そのため、
家を小さくすると総額は下がるが、坪単価は逆に高くなることがある
のです。
これは注文住宅の価格を理解するうえで、非常に重要なポイントです。
坪単価を下げるなら「家の形」をシンプルにする
建築費を抑えたい場合、単純に延床面積を削るだけではなく、建物の形をシンプルにすることも効果的です。
例えば、
- 凹凸の少ない四角形
- 総2階建て
- 屋根の形をシンプルにする
- 水回りをまとめる
- 過度な大開口を避ける
などです。
建物の凹凸が増えると、
- 外壁が増える
- 屋根が複雑になる
- 基礎工事が増える
- 足場が増える
- 施工手間が増える
などの理由でコストが上がりやすくなります。
坪単価が安い住宅=お得な住宅ではない
坪単価が低い住宅を見ると、
「安く建てられるからお得」
と思ってしまいます。
しかし、本当に重要なのは坪単価ではありません。
例えば、
坪単価70万円だけど、標準設備が最低限
という住宅と、
坪単価85万円だけど、高性能窓や食洗機などが標準
という住宅を比較した場合、単純に前者が安いとは言えません。
住宅会社を比較するときには、
標準仕様の内容
を確認しましょう。
特に、
- キッチン
- 浴室
- トイレ
- 洗面台
- 窓
- 断熱材
- 外壁
- 屋根
- 床材
- ドア
- 給湯器
- 太陽光発電
などは、会社によって標準仕様が大きく違います。
「坪単価」と「総額」は別物
ここまで読んでいただければ分かると思いますが、
坪単価は住宅価格を比較するための便利な目安であって、住宅購入に必要な総額ではありません。
注文住宅では、大きく分けて次の費用を考える必要があります。
建物本体工事費
住宅そのものを建てる費用です。
付帯工事費
例えば、
- 地盤改良
- 屋外給排水
- 電気・ガス
- 外構
- 解体
などがあります。
諸費用
さらに、
- 登記
- 住宅ローン
- 火災・地震保険
- 税金
- 各種申請
などの費用があります。
そして土地から購入する場合は、当然ながら、
土地代
も必要です。
実際に家を建てる人はいくら使っている?
ここで、もう一つ重要な統計を見てみましょう。
国土交通省が2026年7月に公表した「令和7年度住宅市場動向調査」では、注文住宅などを取得した世帯について、住宅取得に関する資金などが調査されています。
この調査では、注文住宅の住宅購入資金またはリフォーム資金の平均値が7,646万円となっています。
ただし、この数字をそのまま、
「注文住宅の建物が7,646万円する」
と理解してはいけません。
この調査の「住宅購入資金」は、土地取得を伴うケースなども含むため、先ほどの建築着工統計の「工事費予定額」とは意味が異なります。
ここからも分かるのが、
「建築着工統計の工事費」と「実際の住宅取得資金」は別の数字
だということです。
住宅価格の統計を見るときは、何を対象にした数字なのかを必ず確認する必要があります。
注文住宅の予算は「坪単価」から決めない
注文住宅を検討するとき、
「坪単価80万円だから35坪で2,800万円」
と考えて予算を決めるのはおすすめできません。
先に、
「住宅に全部でいくら使えるのか」
を決めることが重要です。
例えば住宅関連の総予算が5,000万円なら、 項目 予算例 土地 2,000万円 建物 2,400万円 付帯工事 400万円 諸費用 200万円 合計 5,000万円
というように、全体から考えます。
そのうえで、
「この予算でどんな住宅が建てられるか?」
を住宅会社に相談するほうが現実的です。
住宅会社を比較するときのチェックリスト
坪単価を比較するときは、最低でも次の項目を確認しましょう。
① 坪単価の計算方法
延床面積なのか、施工面積なのか。
② 本体価格に含まれるもの
照明、エアコン、給排水、屋外工事などが含まれているか。
③ 標準仕様
キッチン、浴室、窓、断熱材、外壁などの仕様。
④ オプション費用
標準仕様から変更した場合、いくら追加になるのか。
⑤ 付帯工事費
地盤改良や外構などが別途必要なのか。
⑥ 諸費用
登記、ローン、保険、税金などをどの程度見込むのか。
⑦ 最終的な総額
最終的には、
「この家に住み始めるまで、全部でいくら必要ですか?」
と確認するのが最も重要です。
2026年の注文住宅は「坪単価90万円前後」を一つの目安に
2025年の国土交通省の建築着工統計では、全国の持家・木造住宅の工事費は約86万円/坪。
そして2026年6月には約92.8万円/坪まで上昇しています。
このことから、2026年現在の注文住宅については、
「木造なら坪単価90万円前後」という数字を、全国的な建築費の目安として頭に入れておく
と分かりやすいでしょう。
ただし、これは住宅会社の広告に表示される「坪単価90万円」と同じ意味ではありません。
住宅会社によって、
- 本体価格の定義
- 面積の計算方法
- 標準仕様
- オプション
- 付帯工事
が違うためです。
まとめ|坪単価より「何が含まれているか」と「総額」を見る
注文住宅の坪単価は、
建物価格÷延床面積
で計算される、1坪あたりの建築費です。
2025年の国土交通省「建築着工統計」では、持家・木造住宅の工事費は約86万円/坪。
さらに2026年6月の直近データでは約92.8万円/坪まで上昇しています。
そのため、現在の注文住宅の建築費を考える際には、坪単価90万円前後を一つの統計上の目安として考えると分かりやすいでしょう。
ただし、
坪単価90万円×35坪=3,150万円
だからといって、3,150万円だけで家づくりが完了するとは限りません。
土地代、付帯工事費、外構費、住宅ローン関連費用、登記費用、税金などが別途必要になるからです。
また、住宅会社によって坪単価の計算方法も異なります。
そのため、住宅会社を比較するときは、
「坪単価はいくらか?」
だけではなく、
「その坪単価には何が含まれているのか?」
そして、
「最終的に全部でいくらかかるのか?」
を確認しましょう。
注文住宅で本当に重要なのは、坪単価の安さではありません。
自分が希望する住宅を、無理のない予算で最終的にいくらで建てられるのか。
これを基準に住宅会社を比較することが、後悔しない家づくりにつながります。
この記事の主な参考資料
- 国土交通省「建築着工統計調査・住宅着工統計」
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「住宅着工統計 第34表」
- 国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査」
建築着工統計は、建築物の着工について戸数、床面積、工事費予定額などを全国・都道府県別に公表している政府統計です。
また、「令和7年度住宅市場動向調査」は、2026年7月17日に国土交通省から公表された最新の住宅市場動向に関する調査です。




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